コウシのメモ帳

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低圧電気取扱者

低圧の充電電路の敷設・修理等の作業者に対して行わなければならない特別教育の一つ。

受講を迷う人が困惑する記述が「充電部分が露出している開閉器の操作」だと思われる。言い換えると、建設現場の仮設分電盤のブレーカの「入」「切」の操作のこと。

取得対象者についての記述がややこしいので、意外とこの特別教育を取得せずに仮設の分電盤のスイッチを操作している人が多い。特別教育を受けたものが作業する、ということになっている。

 

低圧電気取扱者

資格概要

資格区分:特別教育

受講日数:2日(開閉器の操作業務のみの人のために、1日講習もある)

受講要件: 満18歳以上

関係法規:安衛法 第59条、安衛則 第36条4号

難易度:受講すれば取得可能(実技有り・効果測定程度のミニテストあり)

 

 

内容

その1 低圧電気

開閉器の操作のみの人のために、1日で終わる講習があるらしい。

私が受けたのは2日間の方。余裕のある人は2日間きっちり受けてもいいと思う。

電気取扱者には「低圧」と「高圧」があり、電気さん以外の人が触れるのは「低圧」の方。

低圧電気の該当区分:50V~交流600V(直流750V)以下

高圧電気の該当区分:交流600V(直流750V)~7000V以下

 

 

その2 電気工事士との関係

電気工事士資格は、この特別教育の上位互換にはならない

低圧電気取扱者の特別教育は「充電電路(活線等電気が流れている電路)」を取扱うことを前提としており、充電電路を取扱う場合は特別教育が必要。

充電電路の解釈については、電力会社と敷地内の配電設備が活線で結ばれた段階で、敷地内すべての電路が充電電路の扱いとなる。

分電盤等のブレーカを遮断して、一部を死線(電気が流れていない電線)にしたとしても、ブレーカを上げれば電圧がかかる、という状態であれば充電電路という扱い。

建設現場では仮設の分電盤もそうだが、改修工事等も当てはまると思われる。

新築工事で、電力会社からの受電前の電気が通っていない建物は当てはまらない。受電後は当てはまる。

 

 

その3 受講が必要な人

接地端子に接地線を接続する作業を行う場合、低圧電気取扱者の特別教育が必要。

つまり、仕事で受電後の建築物の冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、給湯器、洗浄機付きのトイレ等の家電のアース線を接地端子に接続する場合も特別教育が必要ということ。

ただし、接地端子がない場合、接地端子の取付までの工事は電気工事士の資格者が行う。

 

現場に仮設の電気を引き込んだ場合、月1回漏電遮断器のテストを行う。

これは低圧電気取扱者の特別教育修了者が行うのが望ましい。

仮設分電盤については取扱責任者が必要。元請会社の社員(現場担当者)から選任する。

 

そのほか、大型の電動工具を使用して、ブレーカをしょっちゅう落としている方は受講しておいた方が無難。

 

 

その4 実務

仮設の分電盤にコンセントを差し込む時の注意事項。

  • 機器1台に対して開閉器1台が原則。
  • コンセントのコードに「行き先」表示をしているか。
  • 分電盤の取扱責任者名、接地抵抗値、定期検査記録表が表示されているか。
  • 分電盤は施錠ができる構造になっているか。

 

そのほか、電工ドラムのコードをドラムに巻いたままで使用していないか等も覚えておくと良い。

 

 

 

その5 法令関係

移動式・可搬式の電動機械器具には、漏電遮断装置の取付が義務付けられている。

これは安衛則と「電気設備技術基準」40条を参照。

 

 

その6 事務

電動工具は二重絶縁のものがおすすめ。

まともに絶縁抵抗計で測定している業者がどれくらいいるのか知りたい。

持込機械等使用届の絶縁抵抗を「0.1MΩ以上」の表記で乗り切るところがあったり、なかったり。

二重絶縁の電動工具であれば「回」と書いておけばいい。

 

 

雑感まとめ

ブレーカの入り切りに必要な特別教育って何? と大爆笑していたものの、上司に促され受講。

 

アースの接地や、解体工事や躯体工事等で仮設の分電盤を触る場合は、取得しておいた方が良い。

また、家電等を設置する際、アース線をコンセントに差し込む人も、取得しておいた方が良い。

本体にアース線が見当たらなくても、取扱説明書等に接地が明示されており、施工者側でアース線を用意して取付るものもあるので確認が必要。

アース付きのコンセントの設置になっているかどうかは、電気設備図を見るか、電気さんに聞けば教えてくれる。アースの取り方がわからないときは、電気さんに相談する。

 

わかりやすい説明をしようと思って、 「ブレーカの入り切りに必要な特別教育」という例を出すと、じゃあ家の中についているブレーカもいるの? という話になるが、それは違う。

あくまで「充電電路が露出している(開閉器)ブレーカの操作」なので、該当するブレーカは現場に設置されている仮設の分電盤くらいしかない。

家の中についているブレーカは、きちんと電路が覆われているため、充電電路はむき出しになっていない。

 

コンセントコードの行き先表示は、同じ現場で作業している他者への気遣いや、優しさでもあると思うのでやった方が良いと思う。

仮設機材の設置者と撤去者が異なる場合、意図せずコードが途中で埋設されてしまった場合など、どこに繋がっているかが一目見てわからない場合もあるため。

行き先表示なんて、養生テープに油性ペンで「コンプレッサー」とか「ポンプ」とか書いて、分電盤に差し込む側のコードに貼っておけばいいだけ。

その日のうちに抜き差しするならまだしも、設置して数か月、日をまたいで置いておくものだと、設置者と撤去者が全く異なる業者になることは多々ある。