アーク溶接作業者
アーク溶接等の業務を行う作業者に対して行わなければならない特別教育の一つ。
アーク溶接とは空気中の放電現象を利用して、金属を繋ぎ合わせる溶接方法。
作業を行える資格であって、能力を保証するものではない。
アーク溶接作業者
資格概要
資格区分:特別教育
受講日数:3日間
受講要件:満18歳以上
関係法規:安衛法 第59条、安衛則 第36条3号
難易度:受講すれば取得可能(実技講習有り・効果測定程度のミニテストあり)
内容
その1 講習
特別教育を受ければ修了証がもらえる資格ではあるが、3日間と拘束時間が長いため、仕事との調整等、受ける覚悟が必要。
3日間のうち、およそ1日半かけて学科を行い、残りの1日半で実技を行った。
コツは講師の先生の話を聞くよりも、同じ受講者の経験者から聞いた方が、感覚的につかめるかもしれない。丁寧に体系だった説明よりも、同じ受講者の言葉の方がピンとくる場合もある。
溶接方法の種類が多すぎて、溶接棒をホルダーでつかんでやるタイプのアーク溶接は、つまりどれのこと? ってなる。
講習ではアーク溶接に分類されている事柄についてを一通り教えてくれるが、どうせみんな使うのこれでしょ? っていうのも教えてくれる。
溶接を専門にやっていないと理解が追い付かない気がする。
その2 粉塵作業
ヒューム(金属蒸気)が発生するため、アーク溶接は「粉塵作業」に該当する。
粉塵作業時は防塵マスクが必要。溶接用の保護メガネも必須。換気必須。
また「粉塵作業」を行う屋内の作業場所については、毎日1回以上の清掃が必要。
蛇足だが、粉じん障害防止規則には「粉塵作業」と「特定粉塵作業」があり、特定がつかない「粉塵作業」の場合は「特定粉塵作業者」の特別教育は必須ではない。「特定粉塵作業者」の特別教育が必須なのは「特定粉塵作業」のみ。
粉塵作業をする場合、作業場以外の休憩所が必要。
事業者は作業着に付着した粉塵を除去する用具を備え付けなければならない。
作業者は休憩施設を利用する前に、作業着に付着した粉塵を除去しなければならない。
その3 健康診断
アーク溶接作業者は、じん肺法による健康診断を受ける必要がある。
屋外作業で常時作業しているわけではなくても、受ける必要がある。
その4 資格
「アーク溶接」の特別教育は、あくまで一定レベル以下の作業に合法的に従事できる資格であって、技術者・技能者としての能力を保証するものではない。
顧客がJIS規格に則った技術・技能を要求している場合、JWESで認定している「溶接管理技術者」「溶接技能者」等の資格証が必要。
令和2年4月から省令改正され、アーク溶接作業を行う場合に発生する「溶接ヒューム」「塩基性酸化マンガン」が特定化学物質の規制対象となった。
これに伴い、作業を行う場合には「特定化学物質作業主任者」を選任し、作業環境測定を行うことが義務付けられた。
その5 事務
アーク溶接で使用する機械器具工具については、使用前点検で点検しなければならない点検事項が決まっている。
- 溶接棒等のホルダー(損傷の有無)
- 自動電撃防止装置(作動状態)
- 感電防止用漏電遮断装置(作動状態)
- 接地(接地線の切断、接地極の浮き)
- 移動電線、接続器具(損傷の有無)
持込機械等使用届等のチェックを忘れずに。
書類作りはすべて事務方にお任せの会社だと、チェックが全くついていないか、変なところにチェックがついている場合がある。
こんな書類まで突っ込む人はいないので、基本的にはスルーしてしまうのだが、辻褄を合わせる努力はしてほしい。
雑感まとめ
アーク溶接は溶接作業だけでも大変な上に、粉塵作業に組み込まれたため、作業以外にやるべきとされている雑多なことが多い。
普段からやってないとやり方を忘れそうなんだけど、やる機会があまりない。