玉掛作業者
玉掛け業務を行う作業員に対して行わなければならない特別教育及び技能講習。
特別教育と技能講習の違いは、クレーンの制限荷重による。
就業制限があるため、特別教育または技能講習を修了した者でないと玉掛け作業ができない。
玉掛作業者
資格要件
資格区分:技能講習
受講日数:3日間
受講要件:満18歳以上
難易度:修了試験、実技試験有り
内容
その1 玉掛けとは?
クレーン等で荷物を吊り上げる際、ロープやフックを掛ける作業のことを玉掛けという。
玉掛けはそもそもクレーン等が無ければ作業自体を行えないため、特別教育と技能講習の違いは、クレーンが吊り上げられる制限荷重によって変わる。
その時に吊り上げる荷物の重さではないことに注意が必要。
◆吊上げ制限荷重1t以上のクレーンで玉掛けを行う場合
……技能講習が必要
◆吊上げ制限荷重1t未満のクレーンで玉掛けを行う場合
……特別教育が必要(技能講習でも可)
玉掛けは就業制限のある業務であるため、該当するクレーンの特別教育・技能講習の修了者でなければ、玉掛けできない。
1t以上のクレーンと1t未満のクレーンでは、1t以上のクレーンの方が多く流通しているため、1t未満のクレーンを見かけることはなかなかない。
吊り荷が1t未満であっても、現場のクレーンが制限荷重1t以上であれば、特別教育修了者では玉掛けが行えないため、技能講習を受けた方がよい。
その2 質量目測
重さがわからない場合は、目測で質量を測ることになる。
「1㎥あたりの質量」
- 水 ……………………… 1t
- 鋼材 ………………… 7.8t
- コンクリート …… 2.3t
「体積の求め方」
- 直方体 …… 縦×横×高さ
- 円 柱 …… 底面積×高さ
質量の求め方は、「体積×1㎥あたりの質量」で求められる。
大抵の資材はメーカーが質量を出してくれているので、そちらを確認した方が早い。
その他、安全係数や基本安全荷重、モード係数による吊具の選定などは講習で教わる。
吊り上げる荷の大きさや形がバラバラな場合、吊具の安全荷重表などは見返せるところに置いておくと便利。目測でロープ長さを選んだらちょっと足りなかったとか、たまにあるので、吊り上げるものの大きさの確認はしっかり行う。
その3 ロープの点検
ワイヤーロープは素線10%以上の切断で使用不可。
7%以上痩せたワイヤーロープも使用不可。
キンクを生じた場合はすぐに捨てること。
そのほか、傷、変形、広がり、錆などの異変が見られたら使用不可。
ワイヤーロープ以外にも、繊維ロープ、繊維ベルト、チェーンスリング、フック、リング、アイボルト、シャックルなど、点検の仕方を含め覚えておくとよい。
隙を見て、準備や片づけのタイミングで、手早く点検できると楽。
その4 玉掛け時の注意
吊り角度は60°以内。
角のある荷揚げ材には当て物をする。
一本吊りはやらない。
吊具を保管する場合は、湿気を避ける。直射日光を避ける。
その5 玉掛けの点検色
現場によっては玉掛けの点検色等があったりする。
緑、赤、黄色、白等のビニールテープをロープの結び目に巻き付けておけばOK。
玉掛けの点検色ルールはゼネコンによって異なる。
法律上、この色でなければダメなんてものはない。が、例えば月ごとに「緑→黄→赤→白」の順番が当たり前だと思っているところもあるので、注意が必要。
雑感まとめ
個人的には重心が真ん中にない難しいものでも、OPさんの顔色見ながらいけば、大体吊れる。
重量物で設置位置がシビアなものでも、人数を用意して、介錯ロープを結んでおけば、大抵どうにかなる。
大型の機材等であれば、素直に荷揚げ屋さんや重量鳶さん等の専門職に依頼した方が良い。
現場巡視などに行くと、稀に単管パイプや配管材を落っことす現場を見かける。
必ずと言っていいほど、一本釣りで無理やり上げようとして落としているので、一本吊りはお勧めしない。
工事用リフトを使うか、搬入時にドライバーさんに手伝ってもらってあげておくなど、別の方法を検討しても良いと思う。