ガス溶接作業者
可燃性ガス(アセチレン)と酸素を使用するガス溶接、切断等を行う場合、必要な技能講習。
就業制限があるため、実質技能講習修了者でなければ、ガス溶接を行えないことになっている。
ガス溶接作業者
資格要件
資格区分:技能講習
受講日数:2日間
受講要件:満18歳以上
関連法規:安衛法施行令 第20条10号
難易度:修了試験・実技試験あり
内容
その1 装置ごとに必要な資格
免許・技能講習の有無によって、使用できるガスの溶接装置が異なる。
◆小型・携帯用ガストーチを用いて行う溶接作業
……ガス溶接技能講習・ガス溶接作業主任者資格ともに不要。
◆酸素+液体ガソリンを使用するトーチによる溶接作業
……液体ガソリン=危険物のため、作業指揮者の指名が必要。
ガス溶接技能講習、ガス溶接作業主任者資格は不要。
◆酸素1本+アセチレン1本を用いて行う溶接作業
……ガス溶接技能講習が必要。作業主任者は不要。
◆アセチレン溶接装置・ガス集合溶接装置を用いる場合
……ガス溶接作業主任者の配置が必要。作業員は全員、技能講習修了者。
ガス溶接作業主任者は免許扱いになるため、「学歴+実務経験」で試験が受けられる。
またガス溶接の作業は、基本的には技能講習修了者でなければならないため、ガス溶接技能講習終了後の実務経験が必要となる。
その2 換気が必要
アセチレンは単純窒息性ガスのため、漏れると酸欠になる。
酸素ボンベを用いて燃焼させていても、大気の酸素を二次空気として消費するので酸欠になる。
そのほか、燃焼で発生する二酸化炭素・不完全燃焼により発生する一酸化炭素で結局、酸欠になる。
ガス溶接・溶断中は酸素が消費されるので、作業場所は十分に換気する必要がある。
その3 溶接機の種類
溶接器には主に、溶接器、加熱器、切断器とあり、用途によって分かれている。
各器具は主に吹管の先端に火口が取り付けられる構造になっている。
火口は消耗品なので、作業量が多いと結構頻繁に交換する。
火口には用途に応じて1号、2号、3号など種類がある。
火口等の消耗品を購入する際は、この辺りを覚えておくといい。
その4 逆火の対応
昔と今では作業終了後の消火の手順が違うらしい。
今は逆火防止のため、酸素を止めてからアセチレンを止めるのが主流とのこと。
ちなみに逆火すると、吹管の中でボボボボボッと音がする。めちゃくちゃ怖い。
すぐに火を止めて、吹管内部の掃除をすれば大体改善する。
その5 安全対策
作業場所の可燃物は遠くに移動しておく。
移動できない可燃物には防炎シートをかぶせておく。
消火器を近くに置いておく。
いろいろ予防措置があるが、水入りバケツを手の届くところに置いておくのが一番いいかもしれない。溶接機が熱くなったら冷やせることと、手の届くところに水入りバケツがあると安心感が違う。
ベテランの職人さんの作業を見ていると、作業開始前に水入りバケツがすぐに手に取って消火できる範囲にあるか、手を伸ばして必ず確認していたりする。
その5 ボンベの保管
ボンベは空にせず、0.1MPa以上を残して返却するのが今の主流。
内部にゴミが入り、回収後、再充填し、再度貸し出した先で事故等を起こすのを防ぐため。
溶解アセチレン等のボンベ(液化ボンベ)は横倒し厳禁。
垂直に立てて保管する場合は、チェーン等でおさえ、転倒防止措置を取ること。
ガスボンベは夏場の直射日光下で保存しない。
40℃以下で保存しなければならないため。
ただし、冬場に暖房の近くにボンベが置かれている場合、ボンベが冷えすぎるとガスの出が悪くなるため、ボンベを温めている場合もある。暖房付近に置かれたボンベは、離隔距離を取っているかや置き方にもよるが、ボンベが40℃以下であれば、個人的には目くじら立てる必要もないかと思う。
その6 ボンベの運搬
都道府県によっては、高圧ガスボンベの車での運搬に関して、別途講習を受けなければならない場合がある。
雑感まとめ
ガス溶接と一口に言っても、簡易トーチ等様々な種類があるため、全体像を把握するのが難しい。
アセチレン関係ないから技能講習いらないや、と思っても、代わりの燃焼材が危険物だったりすると、作業指揮者が必要となったりするので、ややこしい。
私の会社では、使い方が悪いため、吹管ごと買い替えてしまうことが多い。
複数の人間が共用で使っていると、他の現場でどういう使い方をしているのかわからないため、怖くて一年に一度くらい買い替えてしまう。
(吹管があらぬ方向に曲がっているとか、怖いからやめてほしい。壊して放置もやめて欲しい)
吹管にも色々種類があるので、現場を確認して適切なものを使用するのが良い。
会社などで共用でボンベを管理する場合は、空充表示をするやさしさが欲しい。
空になったボンベに、養生テープに「空」と書いて貼るだけで良い。
そんな優しさすらないところ(うちの会社)では、毎度、調整器を引っ張り出してきて、セットして残量確認などという無駄なことをやっている。それを伝えたところで改善するようなところではないので、小さなフラストレーションばかりが溜まっていく。
ガス溶接技能講習の修了証は、ガス溶接作業主任者の実務経験の証明書として使用できるため、ガス溶接作業主任者資格を受ける人は早めに受講した方がよい。