コウシのメモ帳

資格ブログ

足場の組立等作業従事者

足場の組立等を行う作業者に対して行わなければならない特別教育の一つ。

足場の組立等=足場の組立、解体、変更作業のこと。

足場の高さに関係なく、足場の組立、解体、変更作業のどれか一つでも行う場合は、特別教育が必要。

吊足場、張出足場、高さ5m以上の足場の組立等の作業を行う場合、「足場の組立等作業主任者」の技能講習を修了した者が、現場に一人以上いなければならない。

 

足場の組立等作業従事者

資格概要

資格区分:特別教育

受講日数:1日

受講要件:満18歳以上

関連法規:安衛法 第59条、安衛則 第36条41号

難易度:受講すれば取得可能(効果測定程度のミニテストあり) 

 

内容

その1 各役割

足場作業を行う上で覚えておくべき役割は4つ。

「点検者」……作業主任者、元方安全衛生管理者、足場点検実務者から指名。

「作業主任者」……足場の組立等作業主任者の技能講習修了者。

「作業指揮者」……資格等はなく、事業者の指名による。

「作業従事者」……足場の組立等作業従事者の特別教育修了者。

足場の組立等に従事する場合は、足場の組立等の特別教育が必要。

作業主任者、足場点検実務者は、足場の組立等の作業についての実務経験が3年以上必要。

 

 

その2 配置要件

作業主任者、作業指揮者の配置要件は次の通り。

・吊足場、張出足場、高さ5m以上の足場

 ……作業主任者の配置が必要。

 ……その他従事者は、特別教育が必要。

・高さ2m以上~5m未満の足場

 ……作業指揮者の配置が必要。(作業主任者は不要)

 ……その他従事者は、特別教育が必要。

・高さ2m未満の足場、移動式足場、脚立足場等の内部工事用足場

 ……足場の組立等をする作業従事者は、特別教育が必要。

 ……(作業主任者、作業指揮者、ともに不要)

足場の高さはどこからどこまで? という質問をされるが、足場によって変わる。

共通しているのは一番下の基底部は、ベース金具の接地面からということ。(または敷板)

  • 作業床が足場の最上部に設置されている場合、基底部から最上層の作業床まで。
  • 枠組み足場の場合は、基底部から横架材の高さまで。
  • 単管足場等 支柱式足場の場合は、最上層の水平主要材(作業床、布等)まで。

高さ10m以上の足場で、組立ててから解体するまで60日以上ある場合、労基署に事前申請が必要。

 

 

その3 覚えること
  • 高さ2m以上の箇所で作業を行う場合、作業床が必要。
  • 作業床の幅は40㎝以上。
  • 床材間の隙間は3㎝以下。
  • 床材と建地の隙間は12㎝未満。 

などなど、この辺の数字は覚えておくといい。

足場材は、ジョイントとクランプ、ブラケットくらいは覚えておくと良い。

 

 

その4 内装足場

内部工事用足場には、「ローリングタワー」「脚立足場」「可搬式作業台(連結式)」がある。全て特別教育が必要。

 

ローリングタワーは本職の方が組立てることが多いので、特別教育が必要であると認識している人は多い。2m未満の場合は特別教育のみで良い。2mを超える場合は作業指揮者の配置が必要。

 

脚立足場は内装業で使いたい職種が組んでいき、他職も使いたければ「ばらさないで置いておいてー」という感じなので、特別教育が必要であると認識していない人もいる。

脚立足場の組立要領は次の通り。

  1. 足場板を踏桟にバンドで留める。必ず水平設置。
  2. 端っこのはね出し長さは10㎝~20㎝。
  3. 足場板の設置高さは2m以下。(作業主任者も作業指揮者も不要)
  4. 脚立の感覚は1.8m以下。(脚立の固定位置を記した足場板がある)
  5. 足場板の重ね部分の長さは20㎝以上。

 

可搬式作業台は連結式の場合、特別教育が必要だが、単独使用の場合は脚立と同じ扱いになるため、足場の組立等作業従事者の特別教育は不要となる。

連結式であっても2m以下であれば、作業指揮者、作業主任者等の配置は不要。

 

 

その5 足場の点検

足場の点検には2種類ある。

一つ目は、足場上で作業を行う業種の職長等が、作業開始前に行う点検。

足場の組立等に関係なく、組立てられた足場を使用する職種の職長等が行う。

これは安衛則567条第1項に該当する点検のこと。

職長等と書いたが、原文は事業者と書かれている。職長でも現場代理人でも、その日の作業を行う上で会社から仕事を任されている現場での責任者という解釈。

 

二つ目は、足場の組立や変更後に注文者が行う点検。

足場が組立てられたあと、上記の足場を使用する各業者が、足場上での作業を開始する前までの間に、点検・修理を行わなければならない。

またその時の記録は、上記の足場を使用する各業者の作業が終了するまでの間、保管しなければならない。

これは安衛則655条に該当する点検のこと。注文者=元請なので、元請が行う点検。

点検者は、足場の組立等作業主任者、元方安全衛生管理者、足場点検実務者から指名。

点検項目については、安衛則に記載されている。

 

 

その6 事務

外部足場に関しては、書類関係の提出が厳しい。

例年、厚生労働省が出している労働災害発生状況における死亡事故で一番多いのが、「墜落、転落」事故なので、元請けというよりも労基のチェックが厳しい。

 

高さ10m以上かつ60日以上使用する足場に関しては、労基署に事前申請書を出す。

すると、労基署が現場にやってくることがある。

都市によって異なるかもしれないが、労基署の講演等では「うちの臨検は違反件数が多いトップ10を重点的に見ていくからねー」という話をしたりしている。そのトップ10の内容を見ると、もれなく足場関連なのである。

 

元請けがどんなに緩くても、ひとたび臨検に入られると、「明後日までに書類全部揃えて!」という事態になる。足場を見に来るついでに、他の労務関係の書類もチェックされるから。土壇場で慌てふためくことになるくらいなら、最初からある程度やっておいた方が気が楽。

 

場合によっては、外部足場を組み立てる際、作業主任者や技能士資格の資格証を顔の横に掲げて「この人の監督のもと組立てました」みたいな写真の提出を求められることが有る。

元請けが厳しい場合もあるが、公共工事などでは発注者側(役所)が元請けに提出を求めていたりする。写真を撮るためだけに現場に親方を呼ばなければならないなど、それくらい書類業務が煩わしい分野。

 

  

雑感まとめ

「足場は信用するな」とは、現場仕事に異動になったその日、上司から口酸っぱく言われた台詞。「難しいことは今は覚えなくていいから、まずはそれを頭に叩き込め」と言われ今でも覚えている。

足場を組み立てる人たちが、どれだけきっちり組立てても、足場上で作業をする人たちが一時的に、足場板や単管を外していたりする。作業を行う上で、足場材に腕や工具が当たってしまい、作業の邪魔になってしまうため。

足場材を外した状態で、材料や工具を取りにその場を離れていたりするので、それに気づかず足場板に足を乗せたり、単管に手を掛けたりすると、固定されていない足場材ごと落下する危険がある。毎日出入りしている現場ならともかく、数日おきに現場に出入りしている場合は、日々変わる危険箇所がわかりづらい。

足場材を外したままどこかへ行く場合は、外してあることがわかるようにした方が良い。

 

私が初めて入った現場では、とび職の方が優しい人だったので、他職にも関わらず日々の現場作業の中で、直交クランプと自在クランプの違いや、ラチェットでの締め方、番線の種類やシノの使い方も含め一通りのことを教えてくれた。

所長さんの昔話を聞くと「俺が新人の時は、直交と自在のクランプを間違えただけで、クランプ投げつけられたもんだよ」なんてこともあったとか。

作業の都合で外壁足場等の盛替えをお願いする場合、「あれ取ってきてー」とお使いを頼まれることもあるので、足場材の材料くらいは覚えておいた方が良い。

 

足場の組立等作業主任者の技能講習を受けるためには、3年以上の実務経験が必要になる。

足場の組立等の作業に従事する者は特別教育を受けなければならないため、本来の流れでいうと、特別教育を受けてから3年経たないと、技能講習を受けられないということになる。特別教育の受講要件が満18歳なのに対して、技能講習の受講要件が満21歳以上になっているのはそれが理由。

3年以上の実務経験の証明は、大抵「3年以上の実務経験者です。」という一文と、事業者の代表者の証明捺印という紙切れ一枚。そのため「会社に誤魔化してもらえば良い。早くとって来い。」という人もいる。

キャリアアップシステム等で現場入場日数のカウントも始まっているため、これからどんどん実務経験の証明等も厳しくなっていく可能性もある。絞まるのは自分の首だということを考えたら、誤魔化すという考え自体、そろそろやめた方が良いと思う。