コウシのメモ帳

資格ブログ

フルハーネス型安全帯作業

墜落制止用器具のうちフルハーネス型墜落制止用具を使用して作業する場合の特別教育。

用語の改正をしたもんだから、「安全帯」という用語をそのまま採用しているところもあれば、「墜落制止用器具」という用語を採用しているところもある。言いたいことは同じ。

誰かしっくりくる略称を考えた方が良いと思う。

 

フルハーネス型安全帯使用作業

資格要件

資格区分:特別教育

受講日数:1日間

受講要件:満18歳以上

難易度:受講すれば取得可能(実技有り・効果測定程度のミニテストあり)

 

 

内容

その1 教育内容

講義はフルハーネスの種類、使い方、災害防止、法規といった内容。

実技は、点検するときのチェックポイント、フルハーネスを実際に装着して、D環や胸ベルトの位置が合っているか、腿ベルトがしっかり絞まっているかの確認、二丁掛時のフックの掛け方などを行った。

講義4時間半+実技1時間半の計6時間コースを受けた。

ちなみに、その講習では、安全帯という言葉の方が浸透しているため、安全帯という言葉の使用を継続する方針だった。KYシートを書くときに「墜落制止用器具」は書きづらいので、その辺を考慮して名前を付けてほしかったとは思う。

 

 

その2 改正の背景にある労働災害

今までは胴ベルト型でもOKだった。

しかし、胴ベルト型を装着してフックをしっかり手すり等に引っ掛けていても、高所からの落下時に、吊られた位置が高く救出も困難で、長時間にわたり圧迫されて死亡。

というような災害が起きているので、およそ5m以上の高所で作業する場合は、フルハーネス型安全帯を使用することが義務付けられた。

 

 

その3 受講が必要な人

足場や鉄骨を組む方々はとっくに取得済みと思われる。

それ以外では、左官、塗装、タイル、シール、金物、雨どい、衛生、空調、換気、電気、消防等、外壁周りで作業する可能性がある職種は受講が必要。

取り付けるモノは、外壁と足場の間に納まっていたとしても、使用する工具の取り回しがきかずに、結局「この足場、外すよー?」となるため。

今まで足場の特別教育や技能講習を受けていないが為に、元請けに「作業できないから、この部分の手すりと足場板外してー」とお願いして、足場の教育を受けずにやり過ごしていた人たちも、5m以上の高さで手すりや足場板をばらした瞬間にフルハーネスが必要となるため、受講が必要となる。

 

足場板があれば、手すりを外してもOKと勘違いをしている人がいる。

安衛則 第519条第2項に手すりを外す場合は要求性能墜落制止用具を使用させる等の措置について記載されているため、5m以上の高さで手すりのみを外す場合もフルハーネスは必要。

 

一番いいのは、作業内容に合わせて、その都度足場を盛り替えてもらうこと。

手すりや足場板を取り外さなくても作業ができる足場になっていれば、そもそもフルハーネス自体がいらない。

がしかし、各工種の作業に合わせて、その都度足場を盛り替えられる現場ばかりではないため、現実的に考えて特別教育を受けておいた方が無難。

 

また、安衛則に下記の記載がある。

第520条 労働者は、第518条第2項及び前条第2項の場合において、要求性能墜落制止用器具等の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。

つまり、作業床や手すりを設置することができず、元請けから「フルハーネスを使ってね」と言われたら、フルハーネスを使わなければならない。

 

特別教育を受けずに作業した場合、安衛法第119条の罰則(懲役6か月以下、罰金50万以下)に該当(第519条第3項)する。

 

 

その4 フルハーネスの構造

フルハーネスは、肩ベルト、胸ベルト、腿ベルトで構成されている。

腰回りにある作業ベルトは、安全帯に腰袋を付けて作業していた名残からメーカーが取り付けて販売しているだけで、フルハーネスとしては無くてもいい。

フルハーネスを常時使用しない人は、フルハーネスに作業用ベルトが付いているタイプを購入すると、使いづらいかもしれない。

腰袋をいちいち付け替えたり、中の道具を入れ替えるのが面倒になる。

フルハーネスと、腰ベルト(作業用ベルト)は分かれていた方が楽。かも?

低所での作業は腰ベルトのみ、高所で作業するときだけ、腰ベルトの上からフルハーネスを取付るとした方が、道具の入れ替えが無くなるので。

 

低所と高所を行ったり来たりしながら作業する場合、ランヤードは巻取り式にした方が使い勝手がいい。落下時に途中でロック機能が作動するタイプであれば、落下時の高さをいちいち考える手間がちょっと減る。

 

ベルトのバックルは、ワンタッチ式が好き。

 

 

その5 その他

安全帯の選定には、自由落下距離と落下距離の計算による選定が必要。

フックはD環より上にかけること。

フックを掛ける向きは、ロープが吊り下がるとき垂直になる方向にかけること。

親綱1本に対して、かけて良いフックは1つまで。

点検のやり方の例もあるけど、メーカーの取説読んでね、等。

 

 

雑感まとめ

2019年にフルハーネスの着用が開始されてから、3年を経ての受講。

そんなこんなで今年になってようやっと、フルハーネスが必要な現場に当選。

 

どんなもんかと特別教育を受けてみたが、意外と講義の時間が長い。

実技ではフルハーネスの着用があるが、フルハーネスは着用すると、自分ではすべてをチェックできないので、可能であれば同じ会社の人と2人で受講することをお勧めする。

 

災害防止の観点とか、国際規格への追従みたいな観点からすると、安全帯はすべてフルハーネスに変えていきたいという思惑があるようなので、今後ちょっとでも高所作業するならフルハーネスつけてねって話になっていくのかな?という感想。

フルハーネスをずっとつけてると、肩こるし、重いからそういうのは嫌だなというのが本音。

 

業界に入りたての一年生に特別教育や資格作業というものがあるというのを学ばせる上では、良い入門教育なのかなとは思った。